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ヤマト運輸団体交渉2020

日時:2020年3月30日 15:30〜17:00
場所:ベルサンピアみやぎ泉 双方3名


要求
1.会社は2023年には年間総労働時間上限を2240時間にする計画である(2020年度は上限2308時間)。時間外労働手当ての減少、歩合給の減少が生活を圧迫している。賃金減少分を支給し、生活向上と時間短縮を共に図ること。

2.2020年4月1日より「パートタイム・有期雇用労働法」が施行される。マネージ社員とキャリア社員など非正規社員との賞与格差を是正すること。

3.政府は2020年2月4日、企業に対し、従業員の70歳までの就業確保に努めるよう求める高年齢者雇用安定法などの改正案を閣議決定した。今後において、70歳案での雇用が当たり前の時代になると考えられる。定年を65歳に引き上げること。

4.ヤマトHDは、2021年4月1日よりグループ会社8社を経営体制再編する方針を明らかにした。労働条件の変更が予想される。事業再編計画の説明と、労働条件の変更について協議すること。

5.36協定の締結等の過半数代表者の選出は選出する目的を明らかにし、民主的な手続きで選出されなければならない。しかしながら選挙も投票もないまま、過半数代表者が決まってしまっている。事業場の過半数代表者の選出を民主的な方法で行うこと。

回答
1.畠山健治氏の労働時間は計画労働時間を大きく下回るものであり、昨年度の基本給引き上げと、今年度は、マネージ組合員評価昇給一人平均2356円、年末年始特別手当マネージ組合員一人平均233円の措置を考慮すれば、今後計画労働時間を削減したとしても同氏に実質的な影響はないものと考る。

2.貴組合員の労働条件と関係ない事項なので回答を差し控える。

3.定年は65歳であるため現行通りとする。

4.2020年1月23日にプレスリリースしたとおりである。労働条件については、現在変更の予定はない。

5.当事業所では社員の持ち回りで選出された候補者に異議が無いかを確認し、異議がない場合には書面に署名・捺印を行う方法を採用しており民主的手法である。

団交後の畠山見解
1.一般社員に起こっている問題は労働時間短縮による残業代の減少だ。運行ドライバーの場合、BC間輸送にかかる時間を削るしかなく、よって歩合給の減少が生じる。現実的には基本給を賃上げし残業代の削減分をカバーできても、歩合給の減少分までは補えていない。よって実質的な賃上げとなっていないのが実感だ。歩合給の減少を防ぐ為、積み込み時間を休憩時間と計算し実質的な休憩時間を削って運行するドライバーの存在を指摘した。厳密に運行すれば、歩合給が減ってしまう事を避ける為だ。これらを厳密に運行管理者が指導すれば、更なる雇車費の増加が予想される。残業代や歩合給など人件費が減る一方、分業により雇車費や非正規社員賃金などは増加する。SDの場合、営業する時間を削り集配だけに集中するしかなく、それが果たして効率的な経営と言えるのか。決算を見れば、売り上げは上がっても利益は減っているのは何故か。引越し事業の停滞やアマゾン減などにより物量は多く感じない。個数は減っても、増税などに伴う運賃値上げにより売り上げ増になったと思われるので実質的な売り上げ増だとは思わないほうが良いと考える。今後、如何に物量を取り戻し積載密度を上げていくかが鍵と思われるが、事業再編による効率化、デジタル化による経費削減の話しばかりで、具体的な売り上げ増の戦略は見えて来なかった。配達網は既に有るヤマトがアマゾンのような通販サイトを立ち上げたらどうなるだろうかと個人的には思うのだが、売り上げ2倍、利益2倍を目標とするなら、社員賃金も大幅増を目標としなければ現場で働く労働者は納得はできない。何故なら、ヤマトHDは2015年122名で平均年収は777万円だった。2019年には224名と約2倍の人員となり平均年収は956万円と大幅に上昇しているからだ。一般社員からは考えられない賃上げ幅であり、会社利益の公平な分配とは思えない。報道では、平均4589円の賃上げと報道されているが、これはSDの場合のみの賃上げである。SDに支給される2000円分は他職種には支給されない、よって2356円と年末年始の233円の合計2589円が他職種の賃上げ確定部分である。他職種にもSDと同様2000円が付くかは今後の交渉課題だが、これはベースアップ部分と捉えることもでき、これが他職種に付かないとなるのは納得できる話しではない。コロナショックなど複雑な社会情勢はあるものの、引き続き納得できる内容での改定を求める。

2.畠山は正社員となったので非正規組合員の居ない組合の団交要求としては適切でないかもしれない。しかしながら労働契約法20条は、パートタイム・有期雇用労働法へ移行し今年4月からの法改定で更なる格差是正を求められるのであり、それに対する会社の考えを知るには適切な要求である。キャリア社員賞与支給計算式は今まで通りの方針であり、パート社員や非正規社員に扶養手当や地域手当が支給されるかは未定との回答であった。4月からの法改定により、労働者が賃金格差について説明を求めた場合、企業は的確に説明をしなければならない。その説明に納得できない場合、あっせん、ADR、労働審判と進み、それでも納得できない場合には裁判での司法判断を求めていく事となる。法改定により、今までの司法判断が通用しなくなる事を意味すると思う。私が起こした平成27年(ワ)第999号損害賠償請求訴訟の判決(最高裁不受理・棄却)が変わってくるかも知れないと期待している。非正規労働者の皆さんは、納得できない賃金格差である場合には説明を求め、その説明に納得できないなら、あっせん、ADR、労働審判、裁判と行動を起こさなければなりません。自分の権利は自分で守る行動をとりましょう。その為の手助けができればと考えています。

3.会社回答は正確ではない。60歳以降の基本給は大きく下がり、歩合給も付かないか少し付く程度で、全く同じ仕事をしても60歳過ぎると給料が半分位となる。賞与支給は基本給×1ヶ月である。求めているのは、60歳以降も全く同じ賃金支給計算方式であることだ。長澤運輸裁判などの判例はあるが、今回の法改定後に同じような裁判が起きた場合、その判例は通用しなくなるものと思う。最近では2020年4月1日、日本IBM社員が裁判を起こしている。裁判で判例が変わる事を期待したい。

4.プレスリリースのコピーを受け取った。賃金支給方式の変更などの予定は今のところ何も決まっていないとの事だ。ヤマトグループは創業100周年となった。素晴らしいことだ。巨大化した企業にありがちな風通しの悪さを事業再編計画が改善していくものと思われる。100周年を記念して、株主配当は一株あたり10円がプラスされ41円となる。社員には100円くらいのボールペンが支給された(個人的には不満)。お客様には何か記念サービスが有るのかたずねたところ何も無いとのことであったので、期間を限定してでも良いから100周年記念の100円値引きなどの還元を提案した。お客様あってのヤマト運輸であり、そこは最も大事にすべきところだろう。

5.宮城ベースにおいて、職場代表者は今までずっと人事課の特定の人であった。私が非正規の時、職場代表者について署名や捺印を求められたことは無い。今年、職場の代表者に署名と捺印を求められた。代表者が今までとは別の人の名前になっていた。立候補を募ることもなく代表者が決まっていた。私はそれを認めないので署名、捺印しなかった。私は立候補を予定していたからだ。宮城ベースは非正規も合わせて722名が在籍するそうだ。署名、捺印したのはその過半数ではないそうだ。正社員よりも非正規の人数の方が圧倒的に多く、多くの非正規には署名や捺印を求めていないので当然である。非正規も含めて立候補者を募らなければならないのであり、それを行っていない時点でこの手続きは民主的ではない。更に署名、捺印したのは過半数でない一部の社員である。よってその人が職場の代表者として認められたとは思っていないので改善を求めた。

2020年4月5日記
支部長 畠山健治
以上

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