キステムは同一労働・同一賃金を実行しろ 非正規労働者にもボーナスを出せ パート有期労働法裁判に勝利しよう！

2024年1月12日発行　会報第6号より

２０２４年４月２６日(金)１３時１５分判決！ 公正判決要請署名にご協力願います！ 支援する会代表 岩見 千丈 　１１月２９日、１２月１３日と電話会議で和解協議が行われたものの、けっして納得できる内容ではなく、合意に至りませんでした。そのあと、年が明けた１月１２日に最終の口頭弁論が行われて結審し、判決日が２０２４年４月２６日に決まりました。 　非正規雇用者の同一労働・同一待遇をめぐる裁判では、労働条件を比較する場合、主として比較対象の正社員との勤務内容（業務内容と責任の程度）、転勤の範囲の違いが問題とされます。 　９月２２日の証人尋問では、被告側から３人、原告側から��橋さんが証人台に立ちました。被告側は、少しでも他の正規職員と��橋さんの勤務内容の違いを証言しようとしていましたが、��橋さんの、証拠にもとづいた証言により、��橋さんが正社員と同等の業務をこなしている事実が明らかにされました。また、配置転換については、��橋さんと同じ営業所事務担当者の場合、全国でもまれで、しかもその移動は転居不要の短距離だったことも明らかになりました。これらの事実からすれば、賃金や賞与に大きな差があったことは明らかに違法です。したがって原告勝訴の順当な判決が下されるべきです。 　しかし、このかんの非正規雇用者の同一労働・同一賃金をめぐる裁判では、原告側の請求を斥ける判決が相次いでおり、予断を許しません。��橋さんは自分の訴えが真実であり、正義が自分にあることを確信し、敢然と判決を求める決意をしています。このたび盛岡地方裁判所第２民事部あてに公正な判決を求める要請署名を行うことにしました。是非とも会員の皆様、支援者の皆様の協力をお願いいたします。

---  同一労働同一賃金を求める契約社員��橋さんの裁判　--- 盛岡地裁に公正判決を求める個人・団体署名、ご協力のお願い 署名呼びかけ人 「同一労働・同一賃金を求めて闘う契約社員��橋さんを支援する会」 代表 岩見千丈 「全国一般労働組合全国協議会」 中央執行委員長 平賀雄次郎 　��橋さんはＮＴＴの工事現場で警備を請け負う株式会社キステムの岩手県内の営業所で契約社員の事務職員として１０年以上働いてきました。キステムが契約社員や警備員といった非正規労働者に一切賞与を支払わなかったため、正社員との年収差は莫大でした。��橋さんは、東北各県の営業所の正社員の事務員と同じ仕事を同じ時間しているのに、契約社員というだけで著しい待遇差があることを許せなかったことから、新設のパートタイム有期雇用労働法に基づいて、待遇差の理由についての説明を幾度も会社に要求しました。しかし会社が説明をしないまま賃金差別は継続したため、��橋さんはついに２０２２年１月、盛岡地裁に同一労働同一賃金を求める裁判を起こしました。そして皆様方の温かいご支援をいただきながら２３年９月の証人尋問を敢然と闘い、いよいよ２４年春の判決を迎えようとしています。これを受けて私たちは皆様と共に、裁判所が非正規労働者への賃金差別と真正面から向き合って正義の判決を出すことを求め、署名を集めることにしました。 　さる２０２０年に最高裁は「賞与、退職金」といった基幹賃金に関し 非正規には支払わないでいい」とした判決を出して２千万非正規労働者に背を向けました。また今年、札幌の地方裁判所は、郵政ユニオンの仲間たちが闘っている「非正規への寒冷地手当請求訴訟」において、 経営判断によって出さなくともいい」と判示し、不合理な待遇差を禁止した労契法２０条の存在を無視する暴挙に出ました。司法の場で同一労働同一賃金の原則がないがしろにされるようなことがあってはなりません。 　キステム裁判の判決に多くの人々が注視し、公正な判決を求めていることを裁判所に示すために、短期間にではありますがたくさんの署名を集めたいと思います。盛岡地裁に提出する個人署名ならびに団体署名をよろしくお願い申し上げます。 盛岡地裁に公正判決を求める個人・団体署名、ご協力のお願い.pdf 公正判決要請署名（個人）.pdf 公正判決要請署名（団体）.pdf (1) 個人署名ならびに団体署名の集約等について 第一次集約： ２０２４年 ２月 １０日 (集まり次第、適時提出します) (2) 署名の郵送先 980-0811 仙台市青葉区一番町 1-6-19 壱番館ビル 406 号 宮城合同労組内、 ��橋さんを支援する会 （電話 022-261-4392 090-8922-5576 FAX 022-222-7734）

原告と被告双方が最終の準備書面を提出しました 　１２月２５日、原告と被告双方が裁判所に最終の準備書面を提出しました。原告側は最終の準備書面で、証人尋問によって��橋さんの職務内容は、比較の対象となる正社員と同一であるという事実が増々明らかになったことを主張しました。 　一方被告側は、新たに｢どのような労働条件を設定するかは経営判断に委ねられるべき｣という主張を追加しました。この主張は、郵政ユニオンの仲間たちが闘っている寒冷地手当請求裁判において、昨年１１月、札幌地裁判決が出した判決文そのままです。札幌地裁は、「契約社員に寒冷地手当を支給するかどうかは被告側の経営判断に委ねられており、支給されないことが不合理な格差とまではいえない」と判示しました。この論法は、非正規労働者に対する不合理な待遇差別を禁止した労働契約法２０条の存在を無視した暴挙と言わねばなりません。さっそく被告がこの判決を援用したと言えます。 　経営判断で差別待遇が許されることにはなりません！ 　全国の仲間と連帯して闘いましょう！

��橋さんの闘いをふり返る (１)賃金差別の実態： ＮＴＴの工事現場での警備を請け負うキ ステム東北支店管内５営業所には各々ひとりの事務職が配置されている。��橋さんは 岩手県の水沢営業所に１０年勤務してる。 契約社員は��橋さんだけだが、５人の業務内容は同じで勤務形態にも変わりはない。 しかし、��橋さんの基本給と正規雇用事務職社員の賃金平均には５万円強 の開きがある。その上、正社員に支給されている賞与が��橋さんには全く払われない。賞与が支給されない結果、年収ベースで、 ��橋さん の基本賃金は正社員の事務職の６割弱にしかならない。 (2)同一労働同一賃金を求め独力で行動へ： ��橋さんは、厚労省のパートタイム有期雇用労働法の「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」を読み、内容を確認した上で、２０１９年１０月、会社に待遇差の説明と是正を求めた。社内の内部通報制度も利用し、数回、会社とのやり取りがあったが、そこでの会社の姿勢は「契約社員就業規則に『賞与、退職金は支給しない』とある」、「雇用契約書 で双方が基本給額を合意」、だから現行処遇に問題はない、の繰り返しだ。 就業規則を合理性の根拠とすることなど論外だ。不公正な私的契約を無効 とするために労働法がある。パー トタイ ム有期雇用労働法の差別禁止規定こそ必要とされる事態だ。 岩手県労働局の雇用環境・均等室の労働相談コーナーに相談したが、労働局は、会社側が説明の形式をとっていれば説明義務を果たしたと評価する態度を取り、それ以上は相談に乗ってくれない様子であった。��橋さんは、差別的処遇の改善を期待し、キステム内で組織されている連合・情報労連傘下の労組に加入、問題解決も追求した。ところが同労組は、��橋さんの訴えを会社に仲介するだけであった。 (3)広い連帯求めて社会的反撃へ： その後��橋さんは、労契法２０条裁判を闘った東京メトロコマースの女闘労倶楽部の仲間への相談を通じて宮城合同労組に加入、昨年11 月の団交でもゼロ回答を続けた会社に対し、裁判闘争を決意し２０２２年１月提訴した。パートタイム有期雇用 労働法の「同一労働同一賃金」を絵に描いた餅にしない闘いを実現しなければならない。